俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

好きだからやる

長坂まき子著『大人計画社長日記』を読了。友達から「もう読んだ?」と聞かれて、刊行を知った。お昼の書店で発見し、即買い。
著者の長坂さんは、本のタイトル通り、劇団「大人計画」の社長さんで、主に制作をやってらした方です。前々から気になっていた人だけれど、本の内容も面白い! 通勤電車と昼休み、2日で読む。
語り下ろしのスタイルで歯切れよく、制作から役者のマネージメント全般を引き受けた経緯、裏話、本音がこれでもかと書かれている。思考がぱきぱきしている方で、面白いこと・好きなものに、とことん正直で貪欲だ。いいなーと思ったのは、演劇を趣味ではなく、プロの仕事として捉えているところ。要するに“芝居で食っていけるよう”したわけです。金銭的に大人計画を大きくしよう、というのではなく、やりたいことをやるためにしてきた、というスタンスがいいの。実際、芝居だけで食えるようになるのは、相当大変だと思われますが……。

しかし、「制作」の仕事は、芝居の要だね。いくら役者や脚本家、演出家に才能があっても、制作がしっかりしてないと、次につづかないのがよーーーーく分かった。ラインナップを考えて劇場を押える、ホールへ企画持ち込み、本公演中に次回作のチラシを入れる、客入れの手際、経費節減、予算配分、作・演出家への意見……そうした現実的処理ができないと、劇団運営はぐだぐだになっちまうのではないかしらん。
長坂さんは、ご自身のことを「トラブル処理班」というが、それらを解決する原動力が、「大人計画の芝居が好き」という一点であります。好きだからやる、その単純な明快さ。自分もそのことを思い出そう。