俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

お絵かき帳の記憶

僕と彼女と彼女の生きる道」のビデオ録画を観る。真夜中につき、ボリュームをしぼってひっそり鑑賞。
子供のために仕事をやめたが、慣れない洋食屋で皿洗いの現実にくさっていたところ、社会見学に娘がやってくる。幼い娘の描いた「笑顔で働く父親」の絵に愛と信頼を感じ、「俺は無条件に愛されている」「娘がいるからがんばれる」…と、己の選択に自信を取り戻す回である。その絵の漫画っぽさに、筋とは関係ないところで笑ってしまったが、ふと自分が小さいときに描いた絵を思い出した。

小学2年の頃だと思う。ジャポニカのお絵かき帳に、どういうわけだか両親を描いたのだ。当時、自分ながらに流行の絵柄があって、船ばっかり(それも帆船の水潜艦で、丸窓と望遠鏡は必須だった)、山と川と家一軒ばっかり(どことなく「日本昔話」風)、チックとタックばっかり(知ってる?)だった。その流行の過渡期に、それまでの題材に飽きて親を描こうと思ったのかもしれない。
その両親の絵も笑顔だった。長じるにつれ、親のいやな面も見え、反抗期その他で生意気な口をきくようになり、社会人になると今度は親のおとろえを感じるようになった。反対にやさしい口をきくようになり、主客逆転――というか、世代交代なのだろうか。
親に対する無条件さは、ジャポニカお絵かき帳のあたりでとぎれた気がする。それは成長なんだろう。ひとは変わる。お絵かき帳の絵に愛惜をおぼえるのは、それがもう失われたものだからなのだ。